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新人エンジニアのキャリアと3つの輪

江戸時代エンジニアとして、エンジニアしながら江戸時代の研究に勤しんでいる伊尾木です*1。 スタディプラスでは、WebApp グループのテックリードもやっています*2

この記事では、新人エンジニアに向けてキャリアの考え方として 3 つの輪というものを紹介します。 新人エンジニアの皆さんは、まだ自分は何ができるのか、自分がどうなりたいのか、色々迷うことも多いでしょう*3。 そんな方々に向けて、「へーこういう考え方があるんやな」と参考にしてもらえたらと思っています。

3 つの輪というのは、「やりたい」「できる」「やるべき」の 3 つの輪が重なった仕事をしていこうという考え方です *4。 簡単に言うと、「やるべき」が目の前にある仕事であり、「できる」があなたのスキルであり、「やりたい」があなたの情熱です。 つまり、情熱があって、スキルも活かせることが、仕事になったら最高!だからこの3つの輪が重なる仕事を目指そうというのが、3 つの輪の言っていることです。

なるほど、確かにそんな仕事ができるなら最高そうです。でも、ちょっと待ってください。実際はそんなに上手くいくでしょうか? 新人エンジニアの皆さん、いかがでしょうか?いや、新人に限らず、エンジニアの皆さん、今日の仕事を振り返ってそんな最高の状態と言えますか? 言えるあなたは最高です。僕もそうありたいのですが、実際にはなかなか難しい場面も多々ありますよね。 そこで、この記事では 3 つの輪を掘り下げて、どうすれば 3 つの輪が重なるようにできるのかを考えてみましょう。 そして、そこからこれからのキャリアをどのように考えればいいかのヒントを得てもらえたら幸いです。

「やりたい」を考える

3 つの輪で最も重要なのは「やりたい」の輪だと言われています。 あなたの意思が最重要だとされます*5

ところで、仕事に「やりたい」なんて自分の意思を持ち込むべきじゃないと言う方がたまにおられます。 例えば「趣味は仕事にしないほうがいいよ」とか、「嫌でもやるのが仕事」とか。確かに、日々の仕事、全てに対して自分の意思をマッチさせることは難しいでしょう。気が進まなくてもやる作業も実際にはあります。 問題は、そんな仕事が常態化してしまうことです。常態化してしまうと、確実に仕事へのモチベーションが奪われていきます。エンジニアは、良くも悪くも常に勉強が求められる職種です。モチベーションが低下していては新しい INPUT もままなりません。長期的に見て、それはとてもまずいことです。 なので、短期的に「やりたい」の優先度を下げることは確かにあったとしても、長期的にはあなたの「やりたい」を最優先にするべきです。

「そんなこと言ったって、やりたい仕事なんかないよ」と言う声も聞こえてきそうです。これは問題を 2 つに大別できます。1 つは、あなた自身の中に「やりたい」がない問題。もう 1 つが、「やりたい」はあるけど仕事と一致しない問題です。この後者については後で「やるべき」のところで触れるので、ここでは前者の問題について考えてみましょう。

やりたいを育てる

「やりたい事なんかない」という相談を受けることが度々あるのですが、割りと多くの方に共通しているのが「やりたいことは、100%やりたいこととして存在する」という仮説です。ちょっとわかりにくいですね。個人的に、このことを「一目惚れ仮説」と呼んでいます。一目惚れとは、見知らぬ人に対して一度会っただけで突然恋に落ちることですが、これと同様に「やりたい」もあなたの前に純度 100%のやりたいとして現れるはずだっという仮定です。アーティストや俳優さんなんかが、その道を目指した理由として、よくこういうことを語っている気がします(「XX っていう作品・人に衝撃をうけて、YY の道にすすんだ」なんてよく聞く話ですよね)。その影響なのか、「やりたい」は「一目惚れ」のごとくに出会うもの、出会うべきものっという思い込みを持ってしまっている人をよく見かけます。

もちろん、一目惚れが起こればそれは素晴らしいことです。が、「やりたい」との出会いは、一目惚れだけではありません。自分のなかで育てることもできます(経験的に、こちらのほうが多いと思います)。もし、あなたの中の興味関心事と仕事が少しでもかぶるならしめたものです。仮にそれが強い「やりたい」ではなかったとしても、そこをどんどんと深掘りしていきましょう。やらなくちゃいけない仕事は最低限こなすことにして、自分の好きと思える仕事に多くの時間を割きましょう。そして、人間、特定の分野に時間を使い、詳しくなっていけば自然とポジティブな感情を抱きます。そうやって自分のなかの「やりたい」に育て上げていくのです。

内発的動機づけと外発的動機づけ

それでも「やりたい」ことがない、ですか?なるほどです。 「やりたい」と思う心理的な状態や変化を、心理学では「動機づけ」と呼んだりします。動機づけは、大きくわけて 2 つに区分されます。内発的動機づけと、外発的動機づけです。言葉からなんとなく分かるかもしれませんが、あなた自身の中から「やりたい」がでてくるのが、内発的動機づけです。例えば、「何か本を読みたいな、いいの無いかな」と探している状態は、読書に対して内発的動機づけになっている状態です。外発的動機づけは、外部からのなんらかの強制や報酬などによって動機づけられている状態で、例えば「読書感想文のために、読まなきゃ」といった状態です。読書感想文という外的な強制が消えれば、動機づけもされなくなります。

ここまで議論してきた「やりたい」は基本的に内発的動機づけにあたります。心理学においても、外発的動機づけよりは、内発的動機づけのほうが好ましいとされています。ただ、実は外発的動機づけにもいくつかのレベルがあり、そのレベルを上げていけることも指摘されています。外発的動機づけのレベルとしては、外的調整、取り入れ的調整、同一化的調整、統合的調整の 4 段階に分けられています。外的調整は、「命令されたからやる」のように完全に外部からの強制に対するものです。取り入れ的調整は、「やらないと恥ずかしいから」というように自己の防御的な価値観に対応したものです。同一化的調整は、「面倒だけど価値があるからやる」というように積極的な価値観に対応したもので、最後の統合的調整は同一化的調整が進んだもので、やることの価値が自分と一致している状態です。同一化的調整、統合的調整は内発的動機づけとほぼ同じような効果を持つことから、これら 3 つをまとめて自律的動機づけと呼んだりします*6

これらのレベルの区別はここではさほど重要ではなく、重要なのはこのレベルを上げていって内発的動機づけに近づけることが可能だということです。では、どうするのかというと、自律性、有能感、関係性によってレベルが変わるとされています。つまり、その対象に対してより自律的に動け、自分はできると実感でき(有能感)、そして周囲とポジティブな関係をもてるものほど、内発的動機づけに近くなるとされています。有能感は 3 つの輪の「できる」と関係しますが、自律性と関係性も注目に値します。特に本当に「やりたい」がない人は自律性と関係性を伸ばすことにトライしてもいいかもしれません。 例えば、仕事において何をどうやるかを自分で決められるようにしてみる(自律性)とか、あるいはメンバーから褒められることを目標に頑張ってみる(関係性)とかでも全然問題ありません。そういう活動を通して、仕事自体を「やりたい」ことに育てていけるのです。

ビジョン型と価値観型

もしかしたら「やりたい」というと、何か具体的な目標を持つことだと感じてしまう方もいるかもしれません。確かに具体的な目標も「やりたい」の中に入りますが、実は「やりたい」はそれだけではありません。

キャリアの考え方として、ビジョン型と価値観型というものがあります。簡単に言うと、ビジョン型が「目標を決めて、それに突き進むタイプ」で、価値観型は「目標よりも、自分の価値観・こだわりを大事にするタイプ」になります。もしあなたが達成したい目標を決め、そこから逆算的にキャリアパスを考えるのが好きならば、あなたはビジョン型です。一方そういう具体的な目標はなく、自分がどういう状態にいたいのかを重視するのが価値観型です。例えば、「自分の興味ある分野に関わっていたいな」というような人は、価値観型でしょう。ビジョン型の人に、価値観型のキャリアを提案しても「そんなふわっとした考え、キャリアの参考にならない」と言うでしょうし、逆に価値観型の人にビジョン型のキャリアを提案しても「そんなマッチョな人生望んでない」と言われそうです。自分がどちらのタイプなのかを知って、その上でキャリアを考えることはとても重要です。

価値観型は目標がないから、停滞していると勘違いされることもありますが、そんなことはありません。価値観型にも目指したい方向性はあったりします。具体的な点としての目標ではなくとも、例えば「こっちの技術分野で仕事したいな」というような方向性です。その方向性に進んだ結果、ビジョン型と同じ到達点に立っていたりします*7

「やりたい」の輪は、どちらのタイプで考えても構いません。大事なのは、自分に正直に「やりたい」を見つめることです。ビジョン型の目標のほうがわかりやすいため、周りは(そしてあなたも)ビジョン型の目標を持つ方がいいのだと考えてしまうかもしれません。あなたがビジョン型ならそれで良いのですが、価値観型だと不幸なミスマッチになります。なので、自分はどちらのタイプよりかを把握して、「やりたい」を見つめてください。

「やるべき」を考える

次に「やるべき」の輪を考えてみましょう。

誰のための仕事かを意識する

「やるべき」には、誰のためかという視点で、4 つのレイヤーに分けることができます。 まず、特定の誰か、あるいは特定のチームのための「やるべき」こと。会社全体のために「やるべき」こと。顧客・ユーザのために「やるべき」こと。そして、もっと広く社会のために「やるべき」ことの 4 つです。一般的には、下のレイヤーにまで影響できる「やるべき」ことがより価値が高いことになります。

キャリアを考える上で、今のあなたのタスク・仕事が一体どのレイヤーに影響しているのかを意識することはとても重要です。キャリアを進むというのは、このレイヤーの下の方により強い影響を与えられるようになることとも言えるからです。新人のころは特定の誰か(先輩のお手伝いとか)特定のチームにしか価値を届けられなくても問題ありません。それどころか、さっきの外発的動機づけでも書いたように「関係」を深めることによって「やりたい」が育つので、例えば「このタスクやると先輩褒めてくれそう」とか「これやると、あのチームから感謝してもらえそう」ということを目標に始めてもいいのです。

レイヤーの一番下に社会のためが配置されています。「日々の仕事で、そんなデカいこと考えないよ」と思われるかもしれませんね。最近の会社はどこも Mission を掲げることが多いですが、その Mission は社会に向けたものになっていると思います。弊社も Mission として「学ぶ喜びをすべての人へ」を掲げています。会社はこの Mission を通じて社会に貢献することを目標にしています*8。つまり、みなさんの仕事は基本的に会社の Mission を通じて、社会に良い影響を与える可能性があるということです。ここで先にみた「やりたい」を考えてみましょう。あなたの「やりたい」と会社の「やるべき」が重なって、そしてそれが社会を良くしていけるのだとすれば、とても素晴らしいことです。だからと言いますか、やはりあなたの「やりたい」がとても重要なんです。日々の仕事が「やりたい」と少しずれることがあったとしても、会社の Mission と「やりたい」が重なっている、あるいは少なくとも「共感できる」Mission でなくては、長期的にみて双方にとって良いことにはなりません。是非、キャリアを考える上で、所属する会社の Mission とご自身の「やりたい」を見比べてみてください。

ずれた仕事

注意が必要なのが、レイヤーごとにずれが発生してしまうことです。会社のためになり、ユーザのためになり、そして社会のためになる仕事がベストですが、そうではない仕事も存在します。大きく分けて 2 種類あります。「長期的にはずれない仕事」「長期的にもずれている仕事」です。まず前者は、短期的にはずれてしまうパターンで、例えばアプリの UI/UX の大きな変更があげられます。アプリの大きな改修は会社のためかもしれませんが、一時的にはユーザの利便性を下げてしまいます(慣れた UI から離れるのは誰でも嫌ですよね)。ですが、この場合は、長期的にはユーザの利便性が向上する、あるいは少なくとも向上すると信じていて、長期的には会社のためとユーザのためが一致するはずです。今は新しい UI で慣れていないだけで、慣れれば便利になるというわけです。

問題は後者の「長期的にもずれている仕事」です。そんな仕事あるんでしょうか?実は結構あります。この中のいくつかは「ブルシット・ジョブ」という名前で知られています*9。日本語にすれば「クソどうでもいい仕事」です。例えば、いる意味が分からなくなっている会議への参加とか、無駄な管理タスク、あるいは派閥争いなんかもここに入ります。こういう仕事は、特定の誰かを喜ばせるかもしれませんが、本質的には会社のためにも、ユーザのためにもなりません。もし、あなたがこういうずれた仕事を見つけたら、積極的に撲滅させていきましょう。そんなくだらない仕事に時間を使っている暇はありません。

新人の方は、ある意味この「ずれた仕事」を見つけやすい立場にあります。先輩方は長く組織にいる分、「ずれた仕事」に慣れてしまい、無駄を改善する気力も湧いていなかったりします。ところが、新人の方は、新鮮な目で「ずれた仕事」をみることができるので、違和感を提起しやすいのです。そして、単に「文句を言う」だけではなく、論拠をもってこのずれた仕事の何が問題で、どう解決すればいいのかを示すことができれば、もうしめたものです。チームは工数が減って大助かりですし、提案した新人は賞賛の嵐でしょう。どんな組織であっても必ず「ずれた仕事」は存在するため、積極的に「ずれた仕事」を探して撲滅させていってください。

輪を広げる

「やりたい」はあっても、今の会社の仕事と被らないという場合、転職してしまうのも 1 つの手ですが、仕事を新しく作ってしまうことも 1 つの方法です。つまり、「やるべき」の輪を広げて、「やりたい」と被らせてしまうのです。

新人にそんなことできるの!?っと思われるかもしれません。確かに、大きな仕事をいきなり作るのは難しいでしょう。ですが、簡単な方法も結構あります。例えば、興味ある技術がある場合、その技術の勉強会を主催することです。あるいは、その技術を実験的に使ってみて、それをテックブログなどに投稿するのも良いですね。いずれにしろ、「やるべき」を広げるためには、あなたの「やりたい」を積極的に発信することが重要です。少し大きな組織なら、あなたの「やりたい」に近い仕事をもったチームが存在する可能性もあります。「やりたい」を発信しつづけていると、不思議なことに、時期をみて向こうから近づいてきてくれます。

小さくても良いので、「やるべき」の輪を広げてみましょう。そして、「やりたい」を積極的に発信してください。それは必ず、あなたのキャリアにポジティブに働きます。

「できる」を考える

3 つの輪の最後「できる」について考えてみましょう。

「できる」を深める

T 型人材というのをご存知でしょうか。スキルの持ち方に関する人材のモデルですが、簡単にいえば 1 つの分野に対して深く知っていて、その他の分野も幅広く知っているというような人材です*10。あるいは逆 T 字型といって、1 つの分野を極めた人は、他の分野の深いところも理解しやすいというようなモデルもあります。このような亜種はたくさんあり、H 型や山脈型とか様々なモデルが提案されています。いずれにしろ、これらに共通しているのは「1 つの分野」を極めるということです。

新人の方の場合、勉強しなくてはいけない範囲が広く、どうしてもスペシャリストよりはジェネラリストになろうとしてしまいます。ですが、エンジニアの場合、基本的にはスペシャリストを目指すべきだと思います。というのも、エンジニアに求められる技術領域がとてつもなく広大になっていて、プログラミング、設計、UI、インフラ、セキュリティ、機械学習...等と、とてもじゃないですが 1 人では全てをカバーできません。エンジニアにとって幅広い知識は必要ですが、広く浅くだけでは、あまり価値を発揮できることはできないのです。少なくとも 1 つ、あるいはいくつかの専門領域を持つことを意識してください。

輪を広げる

「できる」を深めるのと同様に、そんなに深くなくても良いので「できる」の輪を広げることも重要です。とはいえ、全方位に輪を広げることは不可能です。今のあたなの「できる」「やりたい」にもっとも近い領域から少しずつ広げていってください。この少しずつというのが実は重要です。

ところで、不安状態の心理モデルとして、「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」というものが提唱されています。コンフォートゾーンは、安心の領域で、現状で出来ることをそのままやれば良いだけの仕事が当たります。このコンフォートゾーンから抜け出して、やや不安を持ちながら新しいことにトライするのがラーニングゾーンです。名前の通り、最も学びの多いゾーンになります。一方、わからないことが多すぎて、何が分からないのかすら分からない状態をパニックゾーンと言います。パニックゾーンになると、学ぶどころではなくなり、最悪思考停止にも陥ります。

新人の間は、ラーニングゾーンに入れるような仕事を積極的にとっていきましょう。また、チームにもそのようにお願いしていくことも大切でしょう。その場合に、色々な挑戦を一気にやるのではなく、少しずつトライしていくことを注意してください。そうすれば、パニックゾーンに入らずに学び続けられます。もし仮にパニックゾーンに入りそうと感じたら、迷わずメンバーにヘルプを出しましょう。先輩は、あなたを手助けしたいと思いながらも、一旦自分でやらせて学んで欲しいとも思っています。なので、多少のストレスがかかることは当然なのですが、そのストレスが大きすぎることを望んではいません。ただ、ストレスがどれくらい大きいかは、あなたにしか分からないので、パニックゾーンだと思ったらすぐにヘルプを出すのが重要なのです。

また、エンジニアは常に勉強が必要なので、職種として輪を広げることを期待されています。とは言え、ずっとラーニングゾーンにいることができる特性の人とそうでない人もいます。ちょっと疲れたならラーニングゾーンから抜け出して、コンフォートゾーンに戻ることも重要です。

「やりたい」ことの内発的動機づけの節で、有能感が出てきましたね。ざっくり言ってしまえば「できることは、好きなこと」という図式が人間には当てはまります。なので、今「やりたい」がなくても、「できる」を広げていくうちに「やりたい」が見つかることは多々あります。「できる」の輪が広がると、自律性も高まり、周囲からの信頼も得やすくなります。もちろん有能感も向上するので、仕事を内発的動機づけにもっていきやすくなります。そういう意味では、この「できる」の輪を広げることが最も効率的とも言えるでしょう。

3 つの輪を重ねる

「やりたい」と「できる」の輪は、深くなったり、少し広がるとその慣性に従って、自然と輪が広くなっていく性質があります。「好きなことを調べていったら、もっと知りたくなった」とか、「A と B ができるようになったら、いつのまにか C もできるようになった」というようにです。そうして広がった 2 つの輪と「やるべき」の輪を積極的に重なるようにしましょう。すぐにピタっと重ならなくても、会社の Mission や考え、姿勢、あるいは会社のドメインに共感・関心があれば自然と重なりが濃くなっていくでしょう。

3 つが重なった状態は、本当に楽しい状態です。自分の仕事を天職だと感じることすらあります。 新人のうちはなかなかそこまで思えなくても、それぞれの輪を広げていくうちにきっと重なりが広く、濃くなっていき、心から楽しい仕事に出会えると思います。本当にそれを体験してほしいです。 そのようなキャリアパスを歩んでほしいと思います。

近年、ワークライフバランスという言葉がよく取り上げられます。これまでのワーク中心だった価値観を改める言葉ですが、これはワークとライフ(生活・人生)が対立構造だという前提があります。しかし、実際にはワークはライフのたかが一部でしかなく、主役は常にあなたのライフです。対立構造で捉えていると、ワークが良いのか、ライフが良いのかという綱引きが終わることはありません。そうではなく、ワークはライフの一部なのですから、ワークが素晴らしいものではなくては、ライフの一部が寂しいものになってしまいます。ベストなのはワークも素晴らしいものとなり、それを含むあなたのライフも素晴らしいものとなることです。実際問題として、ライフの一定部分をワークが占拠してきます。どうせワークに占拠されるなら、せっかくなのでワークも素晴らしいものとなった方がいいなと思います。みなさんのワークもそれを包むライフも、素晴らしいものとなって欲しいと心から願っています。

どうか、よいエンジニアライフを。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

*1:頭を剃ってチョンマゲにしてみたり、江戸時代のご飯しか食べない生活をもう 3 年ほど過ごしています

*2:ちなみに、本当の本業は川崎フロンターレのサポータです。今季は本当につらいです。なんとか J1 に残留してほしいです

*3:孔子は 40 代を不惑だと言いました。僕は、孔子様のようにはいかず、40 を超えても未だに人生迷子状態です...

*4:元ネタは、おそらくビジョナリーカンパニー 2 の「針鼠の概念と 3 つの円」だと思われます。 ビジョナリーカンパニー 2 は名著だけあって、この 3 つの円は様々な亜流を産んでおり、ここでいう「やりたい」「できる」「やるべき」の 3 つの輪もそんな亜流の 1 つでしょう。 ただ、個人的には原典よりも使いやすい概念だなと感じていますし、実際にこの 3 つの輪を使っている企業も存在します。僕は前職がクックパッドですが、そこで初めてこの概念を知りました

*5:個に強い権限を与えている現代社会においては、あなたの意思が最も重視されます。一方で、大きな責任も伴います。あなたの意思でやったことは、その結果もあなたが負いなさいと。ある意味、自由で重苦しい社会とも言えます。江戸時代は、そうではありませんでした。自由が制限される代わりに支えあっていこうという考えのほうが主流でした。江戸時代エンジニアとしては、双方のいいとこ取りした社会がいいなぁなんて考えたりします

*6:詳しくは、自己決定理論という分野を調べてみてください

*7:ややこしいのが、そういう状況で人に説明すると、ビジョン型のように話したり理解されたりすることです。価値観型のキャリアパスは偶発的に見えるので再現性がないと思われるのが要因でしょうか?

*8:もちろん、会社によって Mission が看板だけになってしまっている場合もあるかもしれません。弊社に限っていえば、しっかり「学ぶ喜びをすべての人へ」という Mission に向きあっていて、自分の会社ながら好感が持てるなと思っています

*9:アメリカの人類学者デヴィッド・グレーバー先生による著書です

*10:T 型人材の起源について、こちらのnoteで書かれていました。非常に興味深いです。