こんにちは、CTO島田です。
2018年12月13日、Ruby biz Grand prix2018の表彰式が開催され、スタディプラスが大賞を受賞いたしました!
まさか大賞を頂けるとは思っていませんでしたので、とても嬉しいです。
今回、Ruby biz Grand prix応募にあたり、当社の取り組みやRubyの活用方法を応募用紙にしたためました。
この開発者ブログをご覧いただいている方に当社についてより詳しく知っていただきたく、コンフィデンシャルな部分を除いて部分的にこちらに公開します。
スタディプラスについてご興味をお持ちの方、また次回以降のRuby biz Grand prixへエントリーを検討されている方にとって、学びにしていただけますと幸いです。
募集要項(一部)
1. 応募団体の概要
(略)
2. 商品・サービス
(1) 商品・サービスの名称等
- 商品・サービス名
- Studyplus
- 商品・サービスのキャッチフレーズ
- 学ぶ喜びをすべての人へ
(2)商品・サービスの概要
- サービス概要
- Studyplusは、学習管理サービスです。
勉強している教材のバーコードを、スマートフォンのカメラで読み取るだけで、勉強している教材としてスマホに登録し、勉強記録をつけることができます(オリジナルの教材も登録できるため、あらゆる学びを記録することができます)。
私達は、学習の最大の課題は、学習それ自体ではなく、学習の継続であると考え、Studyplusを開発しました。学習はその効果をすぐには体感しづらいため、日々の学習をStudyplusで記録することで、日々成長していることを可視化したり、同じ目標に向かって学習している学習者をつなげることで切磋琢磨していることを感じやすいようにしています。
- Studyplusは、学習管理サービスです。
- 用途
- 大学受験、高校受験、資格試験、語学習得、読書記録など、あらゆる学習の記録にご利用できます。教育事業者にもサービスの提供を開始し、塾や学校の先生が、Studyplusを利用して、生徒の学習モチベーションを見守り、生徒のモチベーションが下がっている時に、声をかけたり、メッセージを送るような事例もあります。
- 顧客ターゲット
- 学習を継続したいユーザー
- 現在のユーザーの内訳は、中学生が10%、高校生・浪人生が56%、大学生が15%、社会人が19%。
- 顧客アプローチ方法
- 2012年のサービス開始以来、広告は一切行わず、学習者同士の口コミで集客してまいりました。友達同士で競い、励まし合う、というコンセプトから、特に、中学生や高校生は使いやすいようです。アプリの評価がAppstoreでは★4.7、GooglePlayでは★4.6と非常に高く、アプリストアで知っていただくケースも多いです。
(3) 商品・サービスの安全性確保のため講じている方策
(略)
3. 事業の成長性と持続性
(1) 新規性・独創性・優位性のPR
①事業概要、新規性
Studyplusの新規性は、先生が「教える」ことではなく、生徒が「続ける」ことをIT化した点です。
教育のIT化、いわゆるEdtechは、対面の授業を映像などデジタルに置き換えるコンテンツを扱うサービスがほとんどでしたが、Studyplusは学習記録をつけるだけの、コンテンツを扱わない、まったく新しいサービスになっています。また、収益モデルについても、学習コンテンツのサービスは、学習コンテンツを購入してから学習をはじめるサービスがほとんどですが、Studyplusは、無料サービスで、広告収入で運営しており、生徒が勉強すればするほど、広告収益が増える、教育業界では他にない収益モデルになっています。
② 独創性・優位性
私達は、対面の授業を映像などデジタルに置き換えるコンテンツを扱うサービスが多い中、学習の最大の課題は、学習それ自体ではなく、学習の継続であると考え、例えば、節約の継続のために、支出を記録する家計簿アプリが必要であるように、学習の継続のために、学習を記録するアプリが必要だと考え、開発しました。
また、家計簿アプリは、その性質上、ユーザーが一人で利用するクローズドなサービスになりますが、Studyplusはユーザーが一人で利用するのではなく、学習記録を公開し、同じ目標を目指すユーザー同士が切磋琢磨する点が特徴的です。結果的に、ユーザー同士が切磋琢磨するネットワーク効果がユーザーに評価され、学習管理SNSとして競合はおらず、教育カテゴリのアプリとして圧倒的ナンバーワンのサービスになっています。また、収益モデルとしても、これまで学習意欲の高い生徒に広告を出稿したかった塾や大学が、日々勉強記録をつける学習意欲の高いStudyplusのユーザーに広告を出稿できることに価値を感じていただいており、塾や大学の生徒募集広告市場でもオンリーワンのサービスになっています。
(2) 市場性・成長性のPR
- Studyplusの累計利用者数は2018年6月時点で350万人を突破しました。2016年10月にはユーザー数200万人、2017年12月には300万人突破と順調にユーザー数を伸ばしています。全都道府県に満遍なくユーザーが存在し、年齢層も幅広いです。アクティブユーザー数は年々増加を続けており、2018年8月のアクティブユーザー数は昨年比118%に増加しました。また、ユーザーの利用頻度が高いことが特徴であり、ユーザーあたり一日のセッション数(Studyplusを起動する回数)は平均14.2となっています。
ユーザー数の成長を支えているのは、実際にアプリを利用したユーザーからの高い評価です。「このアプリを使い始めてから勉強に対する意識が変わりました」「みんなと共に頑張っている!と実感できるアプリです」といったポジティブなコメントを日々頂いています。 - 顧客ニーズに応えるための創意工夫・事業検証・フィードバック
- 地方出張ユーザーインタビュー
- 目的:地域間の学習者の違いや地域格差の理解のため、出張ユーザーインタビューを推奨
- 内容:Studyplus for School導入校にて、Studyplusのインストールから記録・教材登録までの導入サポート。
(3) 将来性のPR
(中略)
- 学習管理機能に加えて、学習に関する記事コンテンツを読めるなど欲しい情報を受け取れるサービスへ進化
- SNSとしての機能をより洗練させ、学習に関するさまざまな情報をシェアしやすいコミュニティとなり、学習する人にとって欠かせないサービスを目指す
- 学習量に加えて習熟度を網羅した学習ビッグデータを活用した学習者へのレコメンデーション機能
4. Rubyの関わり方(優位性のPR)
アーキテクチャ図
(1) Rubyの採用理由
- 「ビジネス上」「技術上」の背景とその理由(採用理由)
- ネイティブアプリのサーバーサイドAPI開発をする際に、RubyやRailsの安定性や採用事例、情報の豊富さから一定以上のスピードと柔軟性を持った開発が実現できると感じたため。
- 実際に使って実感したRubyの強み・メリット
- 簡潔な実装と、高い生産性。
- ライブラリ(gem)の豊富さによる汎用的な仕組みの再利用性の高さ。
(2) アーキテクチャの難易性等(加点要素)
- 非同期処理ではSidekiqのenterprise版を利用して、大規模な処理を適切にスケールして実行する仕組みを導入。
- 複数のマイクロサービスをRuny on Railsを利用して開発。共通化が必要な箇所に社内Gemを利用して実装の統一化を図っています。
(3)システム外での貢献(Rubyの普及啓発)
- Ruby技術カンファレンスへの協賛
- RubyKaigi 2018
- RubyWorld Conference 2018
- その他Rubyイベントへの協賛
- 中高生国際Rubyプログラミングコンテスト2018
- 第10回 Rails Girls Tokyo
- Rubyコミッターに、設計・コードレビュー等の技術アドバイスを受けています
5. 事業の社会的な影響度(事業の実効性・インパクト)
NPO法人へのStudyplus for School無償提供、経済格差による教育格差の改善を目指しています。
当社は、2018年10月12日(木)より、教育事業者向け学習管理ツールStudyplus for Schoolを、教育格差をはじめとした社会課題解決に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)へ無償提供するプログラムを開始しました。
NPO法人は年々増加傾向にある一方で、経営資源に乏しく、安定した運営が難しいという実態があります。本プログラムは、NPO法人の慢性的な人材不足を、Studyplus for Schoolの活用によって解消し、社会貢献事業を加速させる一助になることを目的としています。
第一弾として、無料塾を運営する「NPO法人キッズドア」へStudyplus for Schoolを無償提供しています。
info.studyplus.co.jp
6. 独自の特色ある事項、アピールポイント
- 中学生・高校生向け企業訪問プログラム
- 目的:中学生・高校生の方に、気づきや学びを得る機会を提供するため、修学旅行や課外学習の一環として、企業訪問プログラムを実施しております。
- 内容:会社紹介、オフィス見学・社員との交流、「アプリの企画」等のワークショップ 略
- その他受賞歴
- 日本e-Learning大賞2016年最優秀賞受賞
- GooglePlay ベストアプリ受賞(2015/2016 年)
- Appstore Essentials 選出
補足
受賞者プレゼンテーション
まとめ
まつもとさんが最後の審査委員長講評で「賞は時の運もある」と仰っていましたが、まさにその通りだと感じています。
今回、大賞を受賞できたのはStudyplusというサービスの実績や可能性、Rubyとの関わり方などを総合的に評価していただいた結果であり、タイミングも良かったのだと思っています。
この結果をひとつの糧にして、今後とも教育領域とRubyコミュニティへ貢献をしていく所存です。